今回のメキシコ旅行で降り立った空港は、プエルトバジャルタ(Puerto Vallarta)です。英語ではプエルトバヤルタと発音。
スペイン後で「L」が2つ重なると、英語で言う「Y」の発音になりますが、それはスペインでの話で、中南米ではこれは英語で言う「J」の発音になるのです。
ちなみにスペイン語の「J」の発音は、英語の「H」の発音になるので、Japonは「ハポン」、Jodakoは「ホダコ」になるのでしょう・・・。
プエルトバジャルタの市街は、空港から少し南にあります。確か人口30万人って誰かが言ってましたが、大きな町です。ここは早くから開けたリゾート地でもあり(Betsyの新婚旅行もここでした)、メキシコならではの町並みも見られ、リゾートホテルと古い町並みが混在しているようなところ。リゾートとエキゾチックな異国情緒の両方を楽しむには持って来いの場所でしょう。
お土産屋さんも多く、先日のお買い物もこの町の海岸沿いにあるマレコム地区。他にも旧市街もあるし、レストランも色々あるので、もう少しこの町で過ごせる時間があったらなぁと残念。
この町の裏には神戸や横浜のように山(と言うか丘)があって、チカエとマビオさんのコンドミニアムはこの丘の中腹にあります。そこからの眺めの良いこと!
3年前にハワイのコンドを売ってこちらに鞍替えした二人は、以来毎年1月〜4月の3ヶ月ほどをここで過ごすのですが、「こんなところに住めてえーなー」と言うと、「ええねんけど、しんどいところもある」とのこと。
しんどい最大の理由は、毎回タクシーに乗るのに値段交渉しないとあかんところ。タクシーにはメーターが付いてないので、乗る前にちゃんと交渉しておかないと、ぼったくられたり、嫌な思いをする恐れがある。特にぱっと見て「ガイジン」とわかる私たちは。
チカエはかなりスペイン語も上手に話せるようになってるけれど、私が楽しんでる値段交渉は、めんどくさくて仕方ないそう。確かに、たまにするから面白いのであって、ふっかけて来るタクシー運転手や、決まった値段に不服でふてくされて乱暴に運転する人になんか当たると、嫌だよね。
私たちがプエルトバジャルタを訪れて、チカエとマビオさんたちと食事をした後のこと。その日は「世界観光協会」のカンファレンスがあり、海辺では花火の打ち上げで、近辺は人でごったがえしておりました。タクシーもなくって、しばらく歩いて込み合った地区を出てから探そうと、渋滞している車の横を歩いていたのです。
すると1台のタクシーが声をかけて来ました。
「どこ行くの?」
「プンタミタ、幾ら?」
「700」
「じゃ、いらない」
無視して歩き始めると(ちなみにタクシーにはまだお客さんが乗ってます)、また私たちと並んで、「600はどう?」
マビオさんからは、500から600が妥当な値段と聞いていたので、
「500じゃないとダメ」と答えました。
するとタクシーは行ってしまいました。
(空港からのタクシー料金を600ペソで競り落とした武勇伝以来、値段交渉は私の役目となってます。)
ところがすぐ先のところでお客さんを降ろしています。その横を通り抜けようとすると、
「じゃ、500でいいから」
「ほんと?、ほんとに500ね?」
「Si、Si(Yes, Yes)」と言うので、4人でタクシーに乗り込みました。
乗ってから「プンタミタのどこ?」と尋ねるので、
「フォーシーズンズホテルのちょっと先のバスターミナルを曲がったところ」と言うと、
「えぇー、じゃあ600だ」と言うから、
「500って約束したでしょ?」
「でもちょっと遠いから」
「それじゃ約束と違う。600だったら降りる」と、ドアの取っ手に手をかけると、
「わかった、わかった、500でいいから」
友人達は後に、私のこの迫真の「パフォーマンス」が素晴らしかったと褒めてくれたのですが、パフォーマンスなんかじゃありませんでした。マジでむっとしたから、そんなら降りようって思ったのです。皆、マルガリータやダイキリ飲んで、満腹でもう動きたくない状態でしたから、あの時本当に降りるはめになってたら、かなり立腹されてたかも。
その後この若造ドライバー。ぼろぼろのタクシーやのにめちゃくちゃスピードを出す。市街地を抜けてからの一本道で130キロ出していたときは、「スピード落として、まだ死にたくない!」と言って、80キロにまで落とさせましたが(法定速度60キロのところだよ!)、その後の山道に入ってからも、80〜100キロ出してはりました。運転は下手ではなくて、要所要所は落とすし、対向車が居るかどうかはヘッドライトでわかるのだけど、たまに動物がいるし・・・。とにかく、ずっと天井に手をやって体を支えておりました。(この車、ドアの上に捕まるハンドルが付いてない。)
到着してからも、まだ「チップくれ」と言うので、「メキシコはチップないでしょうが」と無視してホテルに入りました。が、心優しいH美ちゃんは、「あげたら・・・」と20ペソを私に差し出します。確かにプエルトバジャルタからプンタミタまでは、タクシーで1時間弱の距離ですから。
タクシーに取って返し、
「帰りはとにかくスピード落とすこと。ゆっくり運転すること、いいわね?」と言って、20ペソ札を渡しました。
こういうやりとりがチカエには面倒なんでしょうね。
さて、私たちの宿泊ホテルがあったのはプンタデミタと言う土地です。ここは空港から北に40キロ、車で45分ほどのところに位置します。15、6年前にリゾート地としての開発が始まったところで、フォーシーズンズホテルをはじめ高級ホテルが進出し、周りにも高級別荘地の建設が相次ぎました。(そのうちのひとつがジョナサンの家)
プエルトバジャルタと違って、ここは閑静なリゾート地。静かにゆったり時間を過ごすには良いでしょう。お金はかかるけれど。
開発前は漁村で、村の人たちはみんな漁師だったと、帰りに空港まで送ってくれた運転手のアンヘル(Angel)君が言っていました。
地域の名前はプンタデミタ。そしてフォーシーズンズなどのホテルのある地区が「プンタミタ」です。
ホテルの側にタクシーの営業所があるのですが、そこのタクシーはプエルトバジャルタのぼろタクシー(大抵は日産の「Tsuru」と言う、他所では聞いたことのない車種)とは異なり、シボレーの大型SUVのサバーバンです。新しい車が多くて、広いしとても綺麗。
でも綺麗なだけあって、値段は高い。
そしてどんな値引き交渉にも応じてくれない。
帰りにアンヘル君(24歳)と話しててその謎が解けました。あのタクシーのオーナーが強気で絶対に値引き交渉に応じないこと。彼らタクシー運転手は勝手に値引き交渉に応じてはいけないこと。(だから、交渉する度に無線で事務所に連絡して聞いていました。) 帰りの空港へも700で行ってと、ホテルの人に交渉してもらったけれど、無線で問い合わせた結果、絶対に無理とのこと。言い値の800でOKしました。
アンヘル君達ドライバーの収入は運賃の25%で、日当はないんだそう。このところは景気も悪くて観光客も減っているから、日中は殆ど仕事がなくて、全くない日もある。書き入れ時は夜で、フォーシーズンズなどのホテルから食事で出かける/帰るお客さんを運ぶ時だけが忙しいそう。
フォーシーズンズなどの開発が始まって、この土地に住んでいた人たちはみんな立ち退きになったそう。(チカエの話では、土地は政府のものらしく、住んでいた人には所有権はなかったので、単に追い出されただけだそうです。)
今は村の人たちの多くは観光事業に従事しているのか?と聞くと、お父さんもおじいちゃんも昔ながらの漁師をやっているとのこと。村人は英語を学ぶのが嫌なので、殆ど観光事業には従事しておらず、自分の従兄たちもみんな「建設」の手伝いばっかり。ホテルの従業員もみんなプエルトバジャルタからやって来るのだそうです。そう言えば、バスターミナルで大勢の人たちがバスから降りて来て、フォーシーズンズの敷地へ入って行くのを見かけました。
「従兄たちにも英語を勉強して、ホテルやタクシーで働けばいいって僕は勧めるんだけれど、勉強するのなんか嫌だって言うんだよね。」
ところで、空港へ向かう途中、検問をやっていて、私たちのタクシーは止められました。先日プエルトバジャルタに行くときも、同じく検問でひっかかったのですが、アンヘル君の話では、「ドラッグや武器の密輸業者がみんなサバーバンを使ってるんだよ。だからこの車種は止められるんだ」と言ってました。
機関銃を持った警察にトランクの中もチェックされましたが、乗客が可愛い日本人の女の子なので(どこがや!)、問題なく通過。
アンヘル君は安全運転だったし、とても感じが良かったので、降りる時には50ペソをチップに渡しました。どうせチップ払うんやったら、値切らなかったらええと思うかもしれませんが・・・。チップはチップ、運賃は運賃ですからね。そうか、簡単に値下げ交渉に応じて、代わりにチップを弾んでもらったのでは、オーナーの懐に入るお金は減りますからね。固定料金にしているのは賢いかも。(あの地区でタクシーを拾う人たちで値切る人はあんまりいなくて、チップもたくさんくれる人たちばかりかとも思いますが。)
長くなって来たので、この辺で。
あ、ちょっと気になったので、日産のツルってどんな車なんやろうと調べてみたら・・・なんとサニーのことじゃないですか。アメリカではセントラと呼ばれていて、何を隠そう私もカリフォルニア/オハイオ時代の7年間は1996年型のセントラでした。
・・・でもメキシコで走っていたツルは角張っていて、それよりずっと古い型に見えた・・・。