2019年11月24日日曜日

思い立ったら吉日

ブログ再開を宣言しておきながら、時間は掃いて捨てるほどあるのに、なかなか筆を取る(という表現は、「ダイヤルを回す」と同様に死後なのかもしれませんが)気にならず放置状態が続いておりました。その間にも様々な進展があったのにいつも後追いですみません。

9月の末から10月の半ばにかけ、オハイオに出稼ぎに行ってきました。オハイオにはたくさんの昔ながらの仲良しがいて、週末ごとに友人たちに会いに出かけておりました。10月に入って最初の週末はメヒ子の家へ。以前のブログのどこかにメヒ子は登場してたと思われるのですが、なんて書いてたか思い出せず。今後はメヒ子で統一。)

日曜日の朝のこと。
「そうそう、この近所に売り家が出たんだけど、見に行く?」とメヒ子。

その昔から、老人になったら数人の仲良しで、私が今住んでいるような数軒が連なった長屋に住んで協力し合えば、お料理も週に1回ずつで済むね〜と、理想の長屋生活について話し合っておりました。

「じゃ、犬の散歩のついでに見に行こか」と私。

二人と一匹で連れ立って歩くと、メヒ子の家から歩いて1分ほどの同じ通りにその家がありました。同じような時期に同じ地区に建った家なので、外観もメヒ子の家に似ています。するとそここへ一台の車がやってきて、ドライブウェーに車を入れました。中からよそ行きの服を来たおばあさんとおじいさんが降りて来ました。

「売り家って出てたから見てたんです」
「じゃあ、中も見る?」

ということで、おじいさんに犬を預かってもらって二人で中に入りました。ちなみにおじいさんはこの家の持ち主のおばあさんのお友達で、二人は教会から今戻ったばかり。

中を一通り見て、家の価格も教えてもらうと「これ、めっちゃいいよ!こっちがあったら、私もこっちを買ってたわ」と、2年前に今の家を購入したばかりのメヒ子。確かにこの家にはメヒ子の家にはないサンルームが追加されていたし、カーペットとキッチンは2〜3年前に新しくやり直したとかで、93年に建った家としてはなかなか良い状態。

とはいえ、単に冷やかしで見に来ただけなので、とりあえずは見せてもらってありがとうとメヒ子の家へ戻りました。その日の午後は、同じ町に住む「理想の長屋生活」プロジェクトメンバーの一員であるチャ子がメヒ子の家へ私の顔を見にがてら、遊びに来ました。

「聞いて。ここから歩いて1分のところに売り家があって、今朝見て来たんやけど、めっちゃいいってメヒ子が言うねん。私もいいと思うねんけど、チャ子も見てくれない?」

ということで再度おばあさんに連絡して3人で出かけました。

家に行くと、息子さんも来ていて、どうやら家の売却の手続きは彼が引き受けている模様。

チャ子の意見も「いいじゃない!」と言うことで、売買についての詳細を聞くことに。

その後、世間話をしているうちに、なんとチャ子の家のすぐ裏手に住んでいる家族とおばあさんが知合いと発覚してびっくり。特に奥さんのシャノンとおばあさんは特に仲良しで、「シャノンが亡くなったら、遺言状で、シャノンの犬の後見人は私になっているのよ」と。(犬が何歳か知らないけど、シャノンは50代、このおばあさんは80代に見えたんですけど。。。)しかもチャ子の裏手の家のご主人とは、私が昔勤めていた会社で向かい合わせに座っていたエンジニアのジョンなのです!ともかく一気にこのおばあさんが身近に感じられ、この家との出会いが運命的なものに思われたのでした。

ということで、その日のうちに購入を決意。

ところで通常の家の売買は仲買人を通じて行われ、この場合、仲介人への手数料(販売価格の6%前後と言われる)は、通常は売り手が負担し、この6%は売り手側の仲介人と買い手側の仲介人により折半されます。

この家はその仲介人を省いた「売主による直接販売」方式を取っており、家の前の立て札には「Sale by Owner」と表示されています。

私は過去に2回家を購入した経験はありますが、どちらも新築で売り手は建設会社であったため、手続きは一切先方任せ。ところが今回は逆に全ての手続きを自分でしなければなりません。

最初に書いたようにこの時私はオハイオに出稼ぎ中。10月の半ばに一旦ノースカロライナに戻るものの、中1日で再びアラバマへ。アラバマの仕事からは12月14日に戻るものの、すでに12月16日から1月12日までは日本に一時帰国するべく航空券も購入済み。つまり物理的に立ち会うことなくローンの手続きを含む全ての売買手続きが可能なのかどうか。可能であったとして、では具体的にどうすれば良いのか。ノースカロライナの家は、まさか売るなどとは想像もしていなかったから売却用に見せられる状態(ステージングと言う)ではないのですぐには売却できないから、どうやって資金を工面するのか。実際の権利書譲渡の手続はどうやってやるのか。。。途方にくれてしまいました。

ともかく先ずはいくつかのローン会社と銀行に当たりました。そして譲渡の手続きについては前述のジョンが副業で複数の賃貸物件を持っていて、こうした売買に詳しいことをチャ子ちゃんから聞き、ジョンにもアドバイスをもらうことにしました。

と言うことで、早送りしますと、メヒ子を始め友人知人にアドバイスをもらい、ローンについては今回購入するオハイオの家を抵当にした住宅ローンを組むのではなくノースカロライナの家を抵当にしたローン(セカンドモーゲージ)にし、手続きはTitle Agencyと呼ばれるところに手数料(500ドルもかからない)を払えば必要なことはやってもらえることがわかりました。(セカンドモーゲージにした理由は、オハイオの家を抵当にした通常の住宅ローンの場合には上記二つの手数料を合わせたクロージング料が4000ドル近くになり、セカンドモーゲージの場合は、これがゼロになったからです。)これとは別に検査会社を雇って(414ドル)買う家の状態を調べ、見つかった不備については売り手に相談して修理してもらいました。(「現状」が売却条件なので修理範囲には限度があります。)

いくつかの書類は電子的な署名が必要でしたが、不動産の譲渡を始めほぼ全ての手続きが私が不在でも可能でした。

一つだけ問題があったのがローン。借り入れのために今のノースカロライナの家の権利書を銀行が調べると、その権利書には私が既婚者であると記されているとのこと。確かに家を購入した2015年時点には「既婚」でしたので、夫には権利放棄のための合意書(Free Trade Agreement)に署名をしてもらっています。ノースカロライナ州では結婚している夫婦の場合には自動的に所有権が折半されてしまうので、すでに離婚協議を始めていたためこの処置をし、名義は私だけになっていました。

「確かに名義はあなた一人なんですけど、既婚者であると書いてあるので、離婚証明(Divorce decree)を提出してもらうか、ローンのクロージング時に元のご主人にも立ち会ってもらうかのどちらかが必要です。」

だったら何のためのFree Trade Agreementだったのでしょうか。文句を言ってても始まらまいですし、日本には離婚証明なんてないですし。元夫をクロージングにアメリカに呼ぶなんて不可能。うーん、どうしたら良いものか。唯一、離婚を証明できると思われるのが「戸籍の附表。」早速実家に電話をして戸籍の附票を取ってEMSで送ってもらうようにしました。EMSなら4日ほどで着くはず。

銀行から離婚証明が必要と言われたのがすでに11月14日。この家の売買契約に記されたクロージング(譲渡)の日付は11月15日。ただし11月15日は確約できないと当初から先方には伝えており、契約書には更に15日間の猶予を設けてもらっていました。

ところが翌日に母から連絡があり「戸籍の附票はこの町にはなくて、以前戸籍があった千葉にお願いしないといけないんだって。千葉の市役所に聞いたら10日ほどかかると言ってる」と。。。離婚した時、面倒なので戸籍の住所は結婚していた時と同じ千葉のままにしていました。ところが去年、日本に帰国した際に一時的に住民票を実家の住所に入れたのですが、その時に今後、戸籍謄本などが必要になった時に便利なように戸籍も実家の住所に移したのです。

千葉にお願いしなければいけないとなると、11月末までには間に合わないと困っていたところ、銀行から連絡があり、
「添付の書類に署名してくれるなら、離婚証明なしで構わない」とのこと。

添付書類には、
「2015年に家を購入した際に、私は迂闊にも既婚していると記述しましたが。。。云々」と記載されている。「『迂闊にも』って。。。」と言うと、「だから、あなたがこれにサインしてくれるなら大丈夫と言っているのです」とのこと。なんだか偽証罪に問われそうな気もしないでもないけど、銀行内の書類だし、署名することに。

ということで、めでたくローンは承認され、おとといの金曜日のお昼休みに今の職場内にある銀行の窓口で最終的な書類に署名。お金は来週の水曜日、すなわちサンクスギビングの連休直前の11月27日に私の口座に振り込まれ、その後即座に購入資金はオハイオのTitle Agencyに電信送金され、オハイオ時間の3時に譲渡手続きのクロージングが私不在で行われます。

家の鍵は当面はあの家の近所に住む売主の息子さんに預かってもらいます。ちなみにおばあさんは、10月の末に近くの町のマンションへすでに引っ越し済み。去年の末にご主人が亡くなって、一人では家の世話に手が回らなくなってきたからというのが売却理由でした。

すなわち今後は私が家の世話をしないといけないのです。これまで住んでいたの家はどれも、芝刈りや屋根の修理など家の周りの世話は全て管理会社任せのタウンホーム。今度の家は2ベッドの小さな平屋ながらもお庭がありますし、築26年なのでエアコンと暖房はいつ壊れるかわからない状態。ということで購入したらすぐさまエアコンと暖房は交換しなければなりません。(今の家は一人暮らしなのに3ベッドで、無駄にトイレが4つもあって、使わないのに水が濁るから1週間に一度はトイレの水を流しに2階に上がってました。資源と資金の無駄遣いの観点からも今回のお引越しは正解と思われます。)

1月半ばに日本から戻ってきてからしかオハイオに行けませんが、それまではメヒ子とチャ子の協力をあおぐことになります。

購入を後押しした責任を取って、お二人、そこんとこよろしくね〜!
それと引っ越して行ったあとは、もっともっとよろしく!