先週、ノースカロライナ州の憲法改正案が住民投票で可決された。
その内容は、結婚は異性間のもののみとし、同性婚および同性間の結婚に準ずる形を認めないと言うもの。
南部の州としてこうした憲法改正を行ったのはノースカロライナが最後の州だった。つまり他の南部の州ではとっくに同性婚は禁止されており、全米で州の憲法を通して同性婚を禁止しているのは30州あり(ノースカロライナが30州目)、加えて12州が法律によって同性婚を禁止しているそうだ。
実際に同性婚が合法化されているのは、マサチューセッツ、バーモント、ニューハンプシャー、ニューヨーク、コネチカット、アイオワのわずか6州とワシントンDCしかない。(ワシントン州とメアリランド州が部分的に承認。カリフォルニアは一旦認めたものの今は撤回らしい。)なのにニュースでは同性婚が認められたことばかりが報道されるから、そんなに多くの州が、逆に同性婚を禁じる動きに転じているとは全く気付いていなかった。
テレビも見ないし、ろくろく新聞も読まないので、ノースカロライナの憲法修正について知らされたのは、意外にもシナコから。
「ママ、知ってる? ノースカロライナは時代に逆行しているんだよ」と、先週、寮に迎えに行った帰りの車の中のこと。ルームメイトのリアと口を揃えて、この動向はおかしいと言う。
あれから1週間、我が家にはリアが居候中。
卒業生を除く学生は全員、先週寮を出なければならなかったのだが、リアのお母さんはノースカロライナ州のシャーロットからバージニア州のリッチモンドへの引越の真っ最中で迎えに来れず、行くところがないからと我が家にやって来た。
話を聞くと、同じ大学にいるリアの姉が今週末に卒業。卒業式に「両親」がやって来てくるから、それまでの1週間だけ、行き場がないとのこと。
リアが「両親」と言ったので、「じゃあ、お母さんだけリッチモンドに引越して、お父さんはシャーロットなの?」とたずねると、
「ううん、私と父とは縁が切れてるの。シャーロットにいるのは母の元パートナー。今は別れているけれど、まだ友達だから。彼女が私の義理の母なの。」
つまりリアにはお母さんが二人いて、それが彼女の「両親」なのだ。
私も数年前までは、まだ同性のカップルに対して違和感を持っていた。いえ、今でも、それがいざ自分の身内に降り掛かるとなると、素直に受け入れられるかどうか予測はできない。
けれど、本当に身の回りに同性カップルが多く、だんだん受け入れられるようになって来た気がする。
グリニッチでのお隣さんは男性のカップルだった。ベッツィーの息子もゲイだ。アンドリューの弟もゲイだ。高校時代にアリゾナに留学していたときに一番仲良しだったJoanと、Facebookを通して再会したら、彼女もレスビアンでもうすぐパートナーと結婚するって言っていた。キニコの高校時代の寮母さんの家族はレスビアンのカップルだった。数え上げたらきりがない。
歴史をひもといて見ると、ノースカロライナ州の「憲法修正第1項」と言うのは、実は過去にもうひとつあった。それは1875年の、「白人と黒人間の結婚を禁止する」と言うもの。この修正項は1967年に無効になるまで続いた。今回の修正は、1971年に新憲法が樹立されてから初めての修正になるのだが、過去の修正と同様に、いずれは無効になる運命を辿るのだろうか。
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